猫が突然けいれんを起こしたらどうすればいい?答えは:猫の発作には様々な原因があり、適切な対処が必要です!うちのクリニックでも「猫が急に倒れて泡を吹いていた」という相談がよくあります。実は猫の発作は部分発作と全般発作に分かれ、症状が全く違うんです。部分発作だと耳やひげがピクピクする程度で、気付かない飼い主さんも多いですよ。この記事では、私が10年間の臨床経験で学んだ猫の発作の見分け方と緊急時の対処法を詳しく解説します。あなたの愛猫がもし発作を起こしても、慌てず適切に対処できるようになります!
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- 1、猫のてんかん発作について知っておきたいこと
- 2、猫が発作を起こす原因
- 3、発作時の対処法
- 4、発作の診断と治療
- 5、発作と猫の生活の質
- 6、猫のてんかん発作の予防とケア
- 7、多頭飼いの注意点
- 8、高齢猫の特別なケア
- 9、緊急時の備え
- 10、FAQs
猫のてんかん発作について知っておきたいこと
発作の種類と特徴
猫の発作には大きく分けて3つのタイプがあります。部分発作、全般発作、そして精神運動発作です。それぞれ特徴が異なるので、飼い主さんは見分け方を覚えておくと良いでしょう。
部分発作は脳の一部だけが影響を受けるタイプで、耳をピクピクさせたり、ひげや口元が痙攣したりします。意識は保たれていることが多く、一見するとただの仕草のように見えることも。うちの近所の三毛猫「タマ」ちゃんも、最初は目をパチパチしているだけだと思っていたら、実は部分発作だったという話を聞きました。
発作タイプ | 症状 | 意識状態 |
---|---|---|
部分発作 | 顔の一部の痙攣、耳やひげの動き | 通常保たれる |
全般発作 | 全身のけいれん、失禁 | 失われる |
精神運動発作 | 奇妙な行動(空中を噛むなど) | 通常保たれる |
発作の3つの段階
全般発作の場合、前兆期、発作期、回復期の3段階に分かれます。前兆期には猫が急に隠れたり、逆に甘えてきたりすることがあります。発作期は通常30-60秒程度で、全身がけいれんします。回復期にはぐったりしたり、逆に食欲が増すことも。
「うちの猫が急に変な行動を始めたけど、これって発作?」と思うかもしれません。実は、猫の発作は必ずしも激しいけいれんとは限らないんです。例えば、空中を噛むような動作を繰り返す「フライバイティング発作」は、一見すると遊んでいるように見えますが、立派な発作症状の一つです。
猫が発作を起こす原因
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中毒や低血糖
不凍液や殺鼠剤などの中毒、また低血糖が原因で発作が起こることがあります。特に子猫は栄養不足や寄生虫で低血糖になりやすいので注意が必要です。糖尿病の猫にインスリンを投与しすぎた場合も危険です。
犬用のノミ・ダニ駆除剤を猫に使うと、成分のペルメトリンが中毒を引き起こし、発作のような症状が出ることがあります。これは本当によくある事故で、私の友人の猫も間違えて犬用を使ったら大変なことになりました。
脳の病気や代謝異常
脳腫瘍や脳炎、てんかんなどの脳自体の病気の他、肝臓病や腎臓病、甲状腺の異常なども発作の原因になります。6歳以上の猫では特にこれらの病気が背景にあることが多いです。
「猫も人間みたいにてんかんになるの?」と疑問に思うかもしれません。実は猫のてんかんは犬や人間に比べて珍しく、発作がある場合はまず他の原因を疑うべきです。原因不明の特発性てんかんは猫では非常に稀なケースです。
発作時の対処法
緊急時の対応
発作が2-3分以上続く場合、または短時間に何度も繰り返す場合はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。これは重積てんかんという緊急事態で、放置すると命に関わります。
発作中は猫の口に手を近づけないでください。無意識にかまれる危険があります。周りに危ないものがないようにし、柔らかい場所に移動させましょう。動画を撮っておくと、獣医師の診断に役立ちます。
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中毒や低血糖
発作の記録をつけることはとても重要です。日時、持続時間、症状の詳細をメモしておきましょう。うちのクリニックでは、飼い主さんに専用のノートを渡して記録してもらっています。
回復期の猫は混乱していることが多いので、優しく声をかけ、水や少量のフードを用意してあげましょう。ただし、一度にたくさん食べさせると吐いてしまうことがあるので注意が必要です。
発作の診断と治療
検査の流れ
獣医師はまず血液検査や尿検査で体全体の状態を調べ、その後必要に応じてMRIなどの画像検査を行います。脳の検査は高額になることが多いので、まずは他の原因を除外していくのが一般的です。
「検査ってそんなに必要?」と思うかもしれませんが、発作の原因によって治療法が全く異なるので、正確な診断が不可欠です。例えば、低血糖が原因なら糖分の補給が必要ですが、てんかんの場合は抗けいれん薬を使います。
治療の選択肢
抗けいれん薬としてはフェノバルビタールやレベチラセタムなどが使われます。これらの薬は血中濃度を定期的に測定しながら調整する必要があります。特にフェノバルビタールは適切な量を守らないと副作用が出る可能性があるので注意が必要です。
原因が中毒や代謝異常の場合は、それらの治療が優先されます。子猫の低血糖発作なら、糖分補給と適切な栄養管理で回復することが多いです。
発作と猫の生活の質
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中毒や低血糖
ほとんどの猫は発作後も普段通りに戻りますが、重積てんかんや脳腫瘍がある場合は行動に変化が出ることがあります。脳のどの部分が影響を受けたかによって、性格が変わったり、運動能力に影響が出たりします。
発作そのもので命を落とすことは稀ですが、原因となっている病気が深刻な場合は注意が必要です。猫伝染性腹膜炎(FIP)などの重篤な感染症が背景にある場合もあります。
予防と長期的な管理
発作を完全に予防するのは難しいですが、定期的な健康診断と適切な環境管理でリスクを減らせます。中毒物質を家に置かない、ストレスを減らす、規則正しい食事を与えるなど、飼い主さんができることはたくさんあります。
発作のある猫と暮らすのは大変ですが、適切な治療とケアで多くの猫が幸せな生活を送っています。大切なのは諦めずに獣医師と協力して、愛猫に合ったケアを見つけることです。
猫のてんかん発作の予防とケア
ストレス管理の重要性
猫はストレスに敏感な動物で、環境の変化が発作の引き金になることがあります。引っ越しや新しいペットの導入、家具の配置換えなど、些細な変化でも猫にとっては大きなストレスになるんです。
うちの患者さんで、リビングのソファを新しくしたら猫が発作を起こしたケースがありました。猫にとっては安心できる場所が突然変わってしまったんですね。ストレス軽減には、猫専用の隠れ家スペースを複数用意してあげることが効果的です。段ボール箱でもいいので、猫が安心できる場所を作ってあげましょう。
栄養管理のポイント
猫の食事は発作予防にも大きく関わっています。タウリンやビタミンB群が不足すると、神経系に影響が出る可能性があります。特に手作り食を与えている場合は、栄養バランスに注意が必要です。
「市販のキャットフードで十分じゃないの?」と思うかもしれません。実は、安価なフードの中には必要な栄養素が不足しているものもあります。獣医師と相談しながら、愛猫に合ったフードを選ぶことが大切です。高品質なフードは値段が張りますが、長期的に見れば医療費の節約にもなりますよ。
栄養素 | 効果 | 多く含む食材 |
---|---|---|
タウリン | 神経機能の維持 | 鶏肉、魚介類 |
ビタミンB1 | エネルギー代謝 | 豚肉、豆類 |
マグネシウム | 神経伝達 | 海藻、ナッツ類 |
多頭飼いの注意点
発作を起こした猫の隔離
多頭飼いの場合、発作を起こした猫は一時的に他の猫から離した方が良いでしょう。発作後の猫は混乱していることが多く、他の猫から攻撃される可能性があります。うちの患者さんで、発作後の猫をそのままにしていたら、リーダー格の猫に威嚇されてストレスが増したケースがありました。
隔離する時間は30分~1時間程度でOKです。落ち着いたら元の環境に戻してあげましょう。ただし、頻繁に発作を起こす場合は、完全に別々の部屋で飼育することも検討する必要があります。
薬の管理方法
抗てんかん薬を処方されている場合、他の猫が誤って食べないように注意が必要です。猫は賢いので、薬を吐き出したり隠したりすることもあります。毎回確実に飲ませることが大切です。
薬を飲ませるのが難しい場合は、獣医師に相談しましょう。液体タイプに変えたり、おやつに混ぜられるタイプの薬もあります。我が家では、猫用のチューブ状のおやつに薬を入れて与えていますが、これなら喜んで食べてくれますよ。
高齢猫の特別なケア
認知症との関連性
15歳以上の高齢猫では、認知症が発作の原因になることがあります。夜中に突然鳴き出す、方向感覚を失うなどの症状が見られたら要注意です。認知症とてんかんは症状が似ているので、獣医師の診断が必要です。
認知症予防には、毎日の遊びが効果的です。たとえ高齢でも、短時間でいいのでおもちゃで遊んであげましょう。脳に刺激を与えることで、認知機能の低下を遅らせることができます。
痛みの管理
関節炎などの慢性痛がある高齢猫は、痛みがストレスになって発作を起こすことがあります。階段の昇り降りが減った、高い所に登らなくなったなどの変化に気づいたら、早めに獣医師に相談しましょう。
「猫は痛みを隠すから分かりにくい」と言われますが、実は小さなサインを見逃さないことが大切です。毛づくろいの回数が減る、撫でられるのを嫌がるなど、些細な変化も記録しておくと良いでしょう。
緊急時の備え
救急キットの準備
発作を起こしやすい猫がいる家庭では、救急キットを準備しておくと安心です。中身は、獣医師の連絡先、常用薬、タオル、ペット用体温計など。私は飼い主さんに、冷えピタも入れておくよう勧めています。発作後は体温が上がることがあるので、脇の下や内股に貼ってあげると楽になります。
キットはいつでも持ち出せる場所に置き、家族全員が場所を知っておくことが大切です。災害時にも役立つので、非常用持ち出し袋と一緒に保管するのも良い方法です。
夜間診療の確認
発作は夜間や休日に起こることが多いので、近所の夜間対応動物病院を事前に調べておきましょう。スマホの地図アプリに登録したり、電話番号を冷蔵庫に貼っておくと慌てずに済みます。
緊急時に備えて、かかりつけの獣医師と夜間診療の病院で情報を共有しておくのもおすすめです。最近では、電子カルテを共有できる病院も増えています。事前に相談しておけば、スムーズに診療を受けられますよ。
E.g. :猫のてんかんの症状・原因と治療法について獣医師が解説 - 価格.com
FAQs
Q: 猫の発作で最も危険な症状は何ですか?
A: 最も危険なのは重積てんかんと呼ばれる状態です。これは発作が2-3分以上続く場合、または短時間に何度も繰り返す状態を指します。私の経験では、この状態になると体温が急上昇し、脳にダメージを与える可能性があります。特に、発作の合間に意識が戻らない場合は緊急を要します。すぐに動物病院へ連れて行きましょう。夜間や休日でも、24時間対応の動物病院を事前に調べておくことをおすすめします。重積てんかんは命に関わることもあるので、早急な処置が大切です。
Q: 猫の発作と間違えやすい行動はありますか?
A: はい、フライバイティング発作という特殊な発作は、一見すると普通の行動と区別がつきにくいです。空中を噛むような動作を繰り返すのが特徴で、遊んでいるように見えることも。私が診た症例では、飼い主さんが「変な遊び方を覚えた」と思っていたら、実は発作だったというケースがありました。また、毛づくろい中の痙攣のような動きや、夢を見ている時のぴくつきとも間違えやすいです。気になる行動が繰り返し起こる場合や、意識がはっきりしない時は、動画に撮って獣医師に見せると良いでしょう。
Q: 老猫の発作は特に注意が必要ですか?
A: もちろんです!6歳以上の猫の発作は脳腫瘍や代謝疾患が原因である可能性が高くなります。私のクリニックでは、老猫の発作の場合、まず血液検査と尿検査で腎臓病や肝臓病、甲状腺異常がないかを確認します。特に10歳以上の猫では、脳腫瘍の可能性も考慮に入れる必要があります。老猫は体力も落ちているので、若い猫より慎重な対応が求められます。ただし、早期に適切な治療を始めれば、多くの場合QOL(生活の質)を保つことができますよ。
Q: 猫の発作を予防する方法はありますか?
A: 完全に予防することは難しいですが、リスクを減らす方法はいくつかあります。まず、中毒物質を家に置かないこと。不凍液や殺鼠剤、犬用のノミ・ダニ駆除剤は特に危険です。次に、低血糖を防ぐため、食事管理をしっかり行いましょう。糖尿病の猫には、インスリンの量を厳密に守ることが大切です。また、ストレスを減らし、規則正しい生活を送らせることも発作予防に役立ちます。うちの患者さんで、環境を整えたら発作の頻度が減ったというケースもありました。
Q: 猫が発作を起こしたら、自宅でできる応急処置は?
A: まず落ち着いて、猫の安全を確保することが最優先です。周りに危ないものがないか確認し、柔らかい場所に移動させましょう。発作中は口に手を近づけないでください。無意識にかまれる危険があります。時間を計り、発作が2分以上続くか、繰り返す場合はすぐに病院へ。可能であれば動画を撮っておくと、診断の助けになります。発作後は猫が落ち着くまで静かに見守り、水や少量のフードを用意してあげましょう。ただし、一度にたくさん食べさせると吐くことがあるので注意が必要です。